1921年、GUCCIの創業者グッチオ・グッチは、故郷イタリアのフィレンツェで、革製品の輸入・販売店を開業し、翌年にはフィレンツェ伝統の職人技術による、ハンドメイドの高級革製品の店を開くことになりました。GUCCIの歴史はココから始まります。最高の皮職人達が創り出す革製品は、その品質の高さから大好評となり、一躍高級ブランドとしての地位を確立します。
1935年、国連による経済制裁で、イタリアは他国との貿易が禁止されたことで、皮革の入手が困難となったグッチの経営はたちまち危機に晒されましたが、グッチオと彼の息子アルドは、在庫していた原皮を極力減らさないように、皮革以外の素材を組み合わせて製品を作ることを考えました。
そうして生まれたのが、竹と革を組み合わせた、GUCCI最初のブランドアイコン製品である「バンブーバッグ」です。
1938年、フィレンツェでの圧倒的な成功を基盤にして、ローマに新店舗をオープンすると、アルドは自社のバッグに自らがデザイン施し、創業者グッチオ・グッチのイニシャルのGをふたつ組み合わせた、いわゆるGGマークを完成させました。
1950年代に入り、ストライプ・ウエビングや、メタルビット付きモカシンシューズ等を発売しこれらも大ヒットとなりました。
1953年、GUCCIの創業者グッチオ・グッチが死去すると、グッチはその息子や孫に受け継がれ、同年『GUCCIニューヨーク店』がオープンします。これを機にGUCCIは『世界的な高級ブランド』として、その名を知られるようになりました。
そして、この頃になると『ローマの休日』で知られるオードリー・ヘップバーンや、アメリカの大女優でモナコ王妃となったグレース・ケリー達に愛用され、GUCCIはシックなハリウッドスタイルの代名詞になりましたね。
1970年、ジャッキー・ケネディ(故ジョン・F・ケネディ大統領夫人)が、GUCCIのショルダーバッグを愛用すると、そのバッグは「ジャッキーバッグ」などの名前で1999年に再登場を成し遂げ、クラシカルでモダンな定番アイテムとして人気が再燃しています。また1970年代、香港や東京といったアジアへの新規店舗をオープンさせました。
しかし、この頃からGUCCI内部では経営的な内部紛争が絶えず、2代目アルド・グッチのやり方を快く思わない者も出てきます。これが実は後のGUCCIに大きなスキャンダルを起こし、GUCCIが深刻な経営の危機に陥る原因になります。
1980年代、今のGUCCIからは考えられない事ですが、実はこの時期GUCCIは深刻な経営の危機に陥ります。血族間での覇権争いによるスキャンダルや不況のあおり、またGGプリントのバッグが塩化ビニールによって大量生産されたことで、希少価値が薄れ、GUCCIのブランドイメージは著しく低下してしまったのです。
1989年、ドーンメロー女史が副社長兼クリエイティブディレクターに就任して、抜本的な企業改革に着手しました。市場に溢れ過ぎてしまった商品から種類を絞り、伝統的なバッグに現代的な味付けをして発表すると、世界的な話題になり、GUCCIには再び経営改善の兆しが現れるのです。
1994年、トム・フォードが、全てのデザインコンセプトをコントロールするクリエイティブ・ディレクターに就任してからGUCCIは再び快進撃を始めます。これが…、新生GUCCIの誕生です。
トムフォードは、95年VH-1(VH-1 Fashion and Music Awards)のファッションズ・フューチャー・ベスト・ニュー・デザイナー賞、 96年VH-1 メンズウェア・アンド・ウィメンズウェア・デザイナー・オブ・ジ・イヤー、 99年VH-1 ウィメンズ・デザイナー・オブ・ジ・イヤー等を次々に獲得し、世界で最も注目されるデザイナーとして活躍しました。
そして…トム・フォードの活躍により、GUCCIは倒産の危機から世界最高の人気を誇るブランドとしての復活を遂げたのです。
